スイートレモン

「蛤志るこ」の姉妹品として昭和四年に発売を開始した「スイートレモン」は、お湯で溶かせばホットレモンに、冷たくすればレモネードとしてお楽しみいただける固形飲料です。 スイートレモンの作り方も、「蛤志るこ」同様、発売当初から変わっていません。砂糖と水飴を加えた自家製のレモンジャムは、一般的なジャムより甘く作り、甕で保存します。レモンジャム、グラニュー糖、レモン果汁、香料をまんべんなく手で混ぜてほぐし、レモン形にくり抜いた木型に詰めます。この木型は桜の木でできており、削ったり手入れをしながら四十年ほど使っているものです。詰めるときは、型から出したときにくずれないよう、力を込めて体全体で押し込むようにします。
型から出した後は、せいろに入れて乾燥させます。このせいろは初代の頃から使用しているもので、中には炭がくべてあります。火の通りを均一にするため、段々に重ねたせいろを入れ替えながらおよそ二時間。この方法では、一度に二百個分ほどしか「スイートレモン」を作ることができませんが、焦がさないよう弱火でじっくり火をまわすには、炭火が最適なのです。
炭火で乾燥させた「スイートレモン」は、ほんのり香ばしい風味になります。レモンの形に焼いた最中にスイートレモンを二つ入れて挟み、出来上がりです。炭酸やワインで割っても、一味違ったおいしさになります。